3月16日、秋田県・角館で                                        スローフードジャパン総会開催

投稿日 2013年04月17日

3月16日、秋田県・仙北市でスローフードジャパン第12回全国大会が開かれました。この大会は、スローフードジャパンが2008年にNPO法人化してから第6回目の会員総会です。

大会が開かれた3月は、秋田県内各地で雛祭りに関わるイベントが行われます。会場となった仙北市の第三セクター角館温泉「花葉館」のロビーにも、そこからバスで約30分離れた親睦会会場の温泉「ゆぽぽ」のロビーにも、雛人形が飾られていました。まだ雪深い山間で、春を待つ心が伝わってくるような会場でした。
総会に先立ち、スローフードジャパン発足後8年ぶり第2回目となる、2005年以来開催されなかった「Ark(味の箱舟)担当者会議」が行われました。参加したのは13支部(コンビビウム)、20名あまり。スローフードインターナショナルが提唱するArk(味の箱舟)・Presidio(味の砦)プロジェクトは、このままでは消滅してしまうかもしれない伝統的な食材・食品をリストアップし、保護する活動です。今大会開催時点で会員実数(会費納入者)が1,000人を下回ったスローフードジャパンにとり、活動再生のキーのひとつとなるのが、このArk(味の箱舟)・Presidio(味の砦)プロジェクトです。フリートークに近い会議では、会議出席者同士のコミュニケーションを図る、全国のArk(味の箱舟)登録食材・食品がわかるようなパンフレットを作って欲しいなど、活発な論議が交わされました。

総会では、大きな決定が二つありました。
ひとつは、スローフードジャパンが抱える約880万円の負債について。この負債は、債権者の代表である若生裕俊さん(スローフードジャパン前会長)との間で、現会長や事務局長など「執行部」の個人名を記さない確認書を交わし、企業が名刺にスローフードの専用ロゴマークを使える「アミーチ・ディ・スロー」プロジェクト(http://www.slowfoodjapan.net/blog/2011/01/01/1983/)などの収益金で返済することが承認されました。
ふたつめは、日本の農業を巡る最大の問題であるT.P.P.加盟についてです。これについて、「スローフードジャパンはT.P.P.に関してとくに方針を定めない。賛成か反対か、各コンビビウム(支部)が独自に取り組めば良いことだ」との見解が、地元スローフード秋田の会長でスローフードジャパン副会長、東京在住の石田雅芳さんから示されました。この見解は、「ほかの農業団体などからT.P.P.反対で連携しないか、という働きかけがあるが、どうしたらよいのか?」というスローフード山形の質問に対する回答として出されましたが、充分な討議がされないままスローフードジャパンとしての見解となりました。秋田県はかつて八郎潟の大規模開拓と米の減反政策など国の農業政策に振り回され続け、T.P.P.の影響を大きく受けると予想される稲作県のひとつです。さらに、スローフードインターナショナルはEUの農業政策に積極的に関与して政治的な提言をしています。スローフードは農業政策への疑問から始まりました。T.P.P.に対するスローフードジャパンのこの見解は、これからの日本のスローフードの行方を決める大きな決定となるでしょう。
また、特別参加したスローフードコリア(韓国)のキム・ビョンスさんたちから、今年10月1日から6日までソウル近郊のナミャンジュ(南楊州)市で開かれる『2013 AsiO Gusto』(テッラ・マードレとアジア・オセオニア地域スローフード国際大会)のプレゼンテーションがありました。
日本のスローフードがイタリアに学ぶ時期は、すでに終わりつつあります。いまは、食文化も社会状況もイタリアとは大きく異なる日本で、そして東日本大震災と原発事故を経験した日本で、いかにアクションを起こし、人とつながり、スローフードの新たな動きを生み出してゆくのか、組織の在り方ではなく運動の実効性が問われています。

総会に先立つ前夜祭は、畳に座って角館風御膳料理を食べるオールドスタイルの宴会。宿泊は8畳間に7人で眠る合宿風。総会後の親睦会は場所を移動して、温泉「ゆぽぽ」の料理長が秋田の食材を使った心尽くしのビュッフェ。まさに、秋田らしい素朴な総会でした。                              (↓写真下:大会に参加したスローフード気仙沼のメンバー)

 

イタリアのプレシディオ野菜、                                                               カルド・コッボをバーニャカウダで味わう

投稿日 2013年02月13日

 

スローフードは、社会の変化によって消滅してしまう可能性がある食品・食材をArk of Taste(味の箱舟・アルカ)としてリスト・アップしています。 さらに、アルカより厳格な条件を満たした世界中の365品目(2012年8月現在)を、Presidia(味の砦・プレシディオ)に指定して保護に努めています。プレシディオのひとつに登録されているのが、イタリア・アスティ市郊外で採れるカルド・コッボという葉野菜です。そのカルド・コッボを、生産者のボンジョバンニさんが私たちへ個人的に送ってくださいました。
そこで、スローフードジャパン東京/神奈川ブロックと貴重な食品・食材のリストアップを進めるArk(味の箱舟)委員会のメンバーは、ボンジョバンニさんのカルド・コッボをバーニャカウダで食べる会を開きました。人と人のつながりがあれば、スローフードが掲げる国際性は組織に頼らなくてもこんな形で実現できます。スローフードを生むのは、人間とその魅力です。

ボンジョバンニさんが住むニッツァ・モンフェラット村へは、イタリア北部の都市トリノから車で約1時間。じつは、昨年10月トリノで開かれたスローフードの国際的なイベント「テッラ・マードレ&サローネ・デル・グスト」に参加したArk(味の箱舟)委員会のメンバーは、プレシディオ(味の砦)の生産現場を見学するためにニッツァ・モンフェッラット村を訪れたのです。ボンジョバンニさんが生まれた約70年前、カルド・コッポは市場で人気があり、ボンジョバンニさんは「私はカルド・コッボの間から生まれたんです」と、笑いました。

カルド・コッボは、茎を軟白化(柔らかく)させた葉野菜です(↑写真上)。日本にも、同じように茎を柔らかくさせる葉野菜があります。Ark(味の箱舟)に登録されている山形県の「雪菜」です。雪菜の場合は雪の中に寝かせて茎を柔らかくしますが、イタリアのカルド・コッボは土に寝かせます。ところが、カルド・コッボが売れるようになると充分に軟白化させない物が出荷されるようになり、味の評判が落ちて売れなくなりました。伝統的な方法で作り続けるボンジョバンニさんのカルド・コッボが、テレビの番組で放映されて売れるようになったのは10年ほど前からです。そして、ローマやナポリのレストランから注文が来るようになりました。ボンジョバンニさんが一人で守ったカルド・コッボは2006年にプレシディオ(味の砦)に認定され、彼はスローフードの名誉会員証をうれしそうに見せてくださいました。カルド・コッボは、まるでセロリのようです。トリノ近郊に住む人の協力で日本に来たボンジョバンニさんのカルド・コッボは、まず茎を分けて筋を取り、収穫してから時間がたつと生まれるエグ味を、レモン水に浸して取りました。

スローフードのプレシディオ(味の砦)に日本で唯一登録されているのは、長崎県の「雲仙こぶ高菜」です(↑写真上右)。その「雲仙こぶ高菜」を、雲仙市で伝統野菜を栽培している岩崎さん(スローフード長崎会長・↑写真上左)が送ってくださいました。岩崎さんは「雲仙こぶ高菜」だけではなく、カルド・コッボと一緒にバーニャカウダで食べる「女山大根」「長崎赤蕪」なども送ってくださいました。地域に伝統的な食品・食材を維持・復活させるのが、Ark(味の箱舟)の目的です。そこで、カルド・コッボの生産地直伝レシピで作るバーニャカウダには、日本で最初にArk(味の箱舟)にリストアップされたもののひとつ「エタリの塩辛」を使いました(↓写真下の下段)。本場のバーニャカウダには、オイル漬けのアンチョビ(カタクチイワシ)ではなく塩漬けのアンチョビが使われますから、「エタリの塩辛」は最適です。さらに、ワインはメンバーの一人がイタリアで手に入れたバローロ、バルバレスコ。バローロは1980年代品質が悪化し、スローフード運動が生まれるきっかけになったワインです。

使われた食品・食材が、ほとんどスローフードに関わるもので開かれたこの日のカルド・コッボの試食会は、スローフード的に考えると夢のように豪華な宴でした。会場が個人の住宅だったため参加人数を制限せざるえませんでしたが、集まったのはスローフードすぎなみTOKYOをはじめ、スローフード東京・東京Bay・横浜など東京/神奈川ブロックの4つの支部(コンビビウム)のメンバーと関係者。まさに、スローフードを支えるのは、会議ではなく人と人のつながりなが生む喜びであることを実感できた一夜でした。スローフードは、食べる喜びから社会や経済を変えてゆく運動です。
ボンジョバンニさん、岩崎さん、ありがとうございました。

現地直伝レシピ : 塩漬けアンチョビで作るバーニャカウダ

                            by 黒川陽子 / Ark(味の箱舟)委員長

材料
塩漬けアンチョビ(カタクチイワシ *オイル漬けではない)、ワインビネガー適量、オリーブオイル200g(リグーリア州タジャスカ種のものが好ましい)、ニンニク5片、牛乳適量、酢小さじ1/2(一人あたり)、唐辛子適量(隠し味)、バター小さじ1 (一人あたり)

作り方
①塩漬けにしたアンチョビを、ワインビネガーに30~40分漬け込み、塩抜きをする。
②アンチョビを3枚におろして水気を切り、内臓を取り除く。1人分100gを用意して、身をほぐす。
③ニンニクの芯を取り、柔らかくなるまで牛乳で煮る(水で煮る場合は、ニンニクが柔らかくなるまで3回ほど水を替える)。
④ ③をつぶし②のアンチョビと合わせ、オリーブオイルをヒタヒタになるまで加える。
⑤ ④を入れた器を火にかけ、アンチョビが溶けてなくなるまで混ぜる。
⑥酢、バター、唐辛子を入れて仕上げる。
⑦ ⑥のソースに野菜を浸して食べる。

                                      

スローフード横浜からのたより

投稿日 2012年09月29日

スローフード横浜がメンバーの総力をあげて美味しい食材を集め、元町のイタリアン「リストランテ・グランドゥーカ」斉藤シェフの料理を食べる会を開きます。この会は、昨年11月には、メンバーが相模湾で獲れるカタクチイワシで試作した「湘南アンチョビ」を味わうなど、美味しさに関わるさまざまな活動をしています。今回は、この夏NHKの番組『キッチンが走る!』で紹介された市内西谷の苅部さんの野菜や、チーズのプロフェッショナル村松綾子さんの講習が楽しめます。美味しさは、スローフードの原点です。
2012年秋のスローフード横浜イベント情報
(写真はすべて、昨年11月の「湘南アンチョビを食べる会」)

日時:10月13日 午後5時30分~
場所:リストランテ・グランドゥーカ元町店
  ☎045-663-0790 http://www.granduca-jp.com
会費:3,000円(非会員3,500円)
申し込み:090-3384-4560 井上

(↑写真右下は、味の比較のために付け合わされた長崎の「味の箱舟」エタリ)

番外編・カンヌからのたより②

投稿日 2012年05月27日

南フランスのカンヌに滞在しているスローフードすぎなみTOKYOのメンバーが、現地から再び便りを届けます。

残念ながら、『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(監督/若松孝二)はカンヌ映画祭での受賞を逃しました。でも、この作品がカンヌ映画祭にノミネートされて正式に招待されたこと自体が、世界の評価のひとつを表していると思っています。
さて、映画祭ではインタビューを受ける監督や俳優を除くと、スタッフは意外に時間を持て余します。すでに通い慣れたマルシェ(?)の角の食堂でひとり晩飯を食べていると、夜の闇が少しずつ濃くなりました。

ぼくはヨーロッパの夏の暮れゆく長い時間を、店の外でこうやって美味しい物を食べながら、周囲をボンヤリ眺めて過ごすのが大好きです。そうやってマッタリしていると、スローフードの底を流れているのは、結局「食べ物への愛」ではないかと思えてきます。スローフードの社会的役割、地域社会との関係、環境や健康からの観点などを否定するわけではありません。でも、食べ物への愛があるからこそ、それら食べ物を巡る状況に思い至るのです。美味しい食べ物は、人に幸せを感じさせます。だからこそ、人はその美味しい理由を考え、それを考える視線がお皿の外に至ります。美味しさへの語らいが蘊蓄を超え、美味しさの存在理由を語り始めたときに誕生したのが、スローフードという言葉とその考え方なのではないでしょうか……。
この映画の主人公である三島由紀夫は、かつて<人間の存在は皮膚から一歩も外に出る事ができない>と言っていました。三島が精神と肉体の美しさに拘った理由は、そこにあります。しかし、人間は食べ物を皮膚の一種である胃や腸などの粘膜を通して外部から吸収します。<皮膚から一歩も外に出る事ができない>人間は、じつは食べ物によって<外>とつながっているのです。もし、三島由紀夫が生きていた時代にスローフードという言葉があったら、彼は何を語っただろうか……などと、とりとめもない妄想が膨らむ旅の時間です。

ライトアップされたカンヌの丘の城と、港を埋める豪華ボート、街並み)

番外編・カンヌからのたより

投稿日 2012年05月25日

第65回カンヌ映画祭『ある視点』部門にノミネートされた作品の脚本を書き、現在カンヌに滞在中のスローフードすぎなみTOKYOのメンバーからの便りです。

映画祭開催中のカンヌは人であふれ、まさにお祭り騒ぎです。その喧噪のなか、旧市街から新市街地行く坂の途中でマルシェ(市場)を見つけました。マルシェが開くのは昼過ぎまでだそうです。そこで、午前中に時間を見つけて覗いてみました。すると、まず、皺がたくさん入った奇妙な形のトマトが目に飛び込んできたのです。これは、珍しい!! 売っている人の話では、「カル・デ・ブフェ」、つまり「牛の心臓」という名のトマトだそうです。確かにそう言われれば、なにやら似ているような気もしますが、牛の心臓にはこんなに皺があったかな……?。

地中海に面したカンヌなので魚介類はもちろん、マルシェにはハムやチーズ、オリーブの実やキノコ、果物など暮らしに欠かせない食材がずらりと並んでいます。マルシェは、まさにその土地の「食のテーマパーク」なのだと感じさせられました。ここカンヌでは、工業化された食材に並んで、「おッ、これは何だ!?」と声を上げたくなるようなスローフード的な食材も多く売られているのが特徴です。地中海の陽光と豊かな食材が多くの国から人々を引き寄せ、世界的な映画祭を生んだのかもしれません。なにしろ、映画の人たちには食いしん坊が多いですから……。しかし、残念ながらカンヌにはスローフードの支部(コンビビウム)はないようです。

カンヌは坂の多い町です(↓写真上)。その坂を下りた海岸に、映画祭の会場となる「パレ・デ・フェスティバレ・エ・デ・コングレ」の現代的な建物があります(↓写真中左上)。じつは、この建物の中で行われる映画作品の見本市が、カンヌ映画祭を大きくしました(↓写真中右上)。世界各国の映画制作者と配給会社が作品の上映を取引するのです。そして、有名なレッドカーペットの前では(↓写真中右下)、強い日差しを浴びながら報道陣が汗だくで場所取りをしていました(↓写真中左下)。『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(監督/若松孝二)は、明日(こちらでは25日)の夜がいよいよ公式上映です。ぼくが脚本を書いた映画を、世界は再びどう評価するのか?……は、さておき、昨夜は貝とエビをたらふく食べました(↓写真最下段)。

追記:

「牛の心臓」(トマトです!!)をかじりました。日本の桃太郎のような酸味はなく、フルーツトマト系の甘さもなく、外見とは裏腹にパステル画のような味でした。

ドキュメンタリー映画『よみがえりのレシピ』  東京で初上映 !!          

投稿日 2012年04月05日

スローフード山形のメンバーが中心になって製作した映画『よみがえりのレシピ』が、東京で初上映されます。
この作品は、4月2日、第36回香港国際映画祭でも上映されました。
日本のスローフード運動の考え方や在り方を知るために、ぜひご覧ください。

4月21日(土曜日)午後8時50分~午後10時20分
4月23日(月曜日)午前11時~午後0時30分
世田谷区 下高井戸シネマ(京王線下高井戸駅下車 TEL 03-3328-1008)
¥1,300円 (前売り¥1,000円)

http://shimotakaidocinema.com/schedule/tokusyu/dokyu2012.html
http://www.y-recipe.net/index.html
 (上映についてスローフードに関する問い合わせ battex02@zap.att.ne.jp)

下記は、フランス上映用に書かれたコメントです。

日本の地域文化と伝統野菜
掛川正幸(*脚本家/記者)

*映画「実録・連合赤軍」で、2008年ベルリン映画祭/最優秀アジア映画賞ほか受賞 

 さいきん、日本ではかつて地域で作られていた固有の野菜・伝統野菜の復活が広がっている。これは、消費者のニーズの多様化によって、野菜も種類を増やさなければならなくなった結果だ。だが、それらの野菜の栽培に使われる種子は、かつて各農家が伝統的に行っていた「自家採種」の種ではなく、多くは大手種子メーカーによって作られた交配種だ。そして、販路も都市部の消費者を対象としている。地域の伝統野菜の復活は、農業協同組合の新たな野菜ビジネスに直結しているケースが多い。

 ドキュメンタリー映画『よみがえりのレシピ』のテーマは、それらの伝統野菜復活の動きとは異なり、「食」を通した日本の地域文化の保持と創造だ。登場する野菜の種子は、もちろん自家採種。取り上げられる農法のなかには、数百年の歴史を持つ「焼き畑」もある。そして、何よりもそこで語られるのは、種を守り続けてきた生産者、その種を発掘し価値を語る研究者、さらに栽培された野菜を使う料理人が織りなす、<食のトライアングル>だ。このトライアングルこそが、伝統野菜を保持するだけではなく、その野菜を使ったメニューによる新たな「食」の可能性を通して、伝統に根ざす地域文化を創造してゆくのである。この映画に登場する伝統野菜は、山形県鶴岡市のレストラン「アルケッチャーノ」の奥田政行シェフの手を通して、いまや多くの人が知る「山形イタリアン」へと変身する。映画では、地域に根ざす生産から消費にいたるプロセスが語られる。

 日本の野菜の多くは、原産地が日本ではない渡来種だ。その渡来種の自家採種を繰り返してそれぞれの土壌や天候に適合させた結果、地域の固有種・伝統野菜が生まれた。また、日本で人気が高いイタリア料理も、地域性が強いイタリアの料理が新たなレシピによって現在の味覚になった事は知られている。

 ある哲学者はこう語る。「伝統とは、成功した改革の結果である……」              『よみがえりのレシピ』は、伝統野菜だけではなく、その<改革>を描いている。

( ↓ 山形県鶴岡市の山林で行われている<焼畑>)

東日本大震災 支援⑬
スローフード新宿応援団からのたより

投稿日 2012年03月15日

あの日から1年たった3月11日、
スローフード新宿応援団は岩手県岩泉町のハム工房「モーとんふぁみりー」http://www.protoscience.co.jp/iwashin/mooton/と一緒に、東日本大震災のメモリアル<イーティング>を新宿・四谷地域センターで行いました。

この日使われた食材は、スローフードの「ARK(味の箱船)」にリストアップされている岩泉町の日本短角牛。岩泉町では放牧されていた牛の一部から、福島原発災害により基準値以下ですが放射性物質セシウムが検出されました(60ベクレル/1㎏。政府の基準値は4月から100ベクレル/1㎏)。健康には影響ないとされるその肉の料理を食べながら、原発災害が酪農に与えた影響と、被災者の方の話を聞こうという<イーティング>でした。
(↑上左・コールドビーフ 上右・ココット 下左・ビーフシチュー 下右・ハンバーグ)

参加者は、大人31人子供6人。子供や授乳中の母親にはセシウムフリーの食材が用意されました。調理は、仙台のイタリアンレストラン「アルフィオーレ」のシェフ目黒浩敬さんhttp://www.jiyujin.co.jp/organic/page/?page_id=alfiore とモーとんふぁみりーの畠山幸誠さんが担当。目黒さんは自家菜園で店に出す野菜を作り、ハムやパンチェッタなども自分で作っています。「完璧に安全な食材を追求してゆくと、地元の農業や漁業を潰す事になりかねません。厳しい選択ですが、岩泉の短角牛を守るために、今日はこの肉を使います」と、目黒さん。

岩泉町の隣・宮古市の畠山さんは津波で家族と住んでいた自宅と働いていたレストランを失い、いまは仮設住宅に住みながらモーとんふぁみりーに通っています。ときおりメモに目を落としながら、被災したときの状況を語る畠山さん。そこには、テレビのインタビューとは異なり、直接話を聞かなければわからない言葉の重さがありました。その重さが、参加者一人一人の胸に迫ります。「高台への坂道を走って登ったとき、振り返るとそこは海でした」 畠山さんの話が終わったのは、偶然にもあの午後2時46分。
参加者全員で、犠牲者への黙祷を捧げました。

モーとんふぁみりーの<工場長>こと穴田光宏さんは、「普通は、牛肉からセシウムが検出されても、基準値以下であれば数値を記さずに販売されます。でも、ぼくは事実を知ってもらった上で、うちの商品を買って欲しいんです。それが、生産者の支援につながります」 モーとんふぁみりーが販売するビーフジャーキーには、検出された放射線量が記されています。

この<イーティング>に参加したコラムニストの松沢呉一さんは、こう語ります。「東京にも蛇がたくさんいて、この建物の裏にもいます。でも、気がつかないのです。人間には、嫌な物を見ないで済ませる能力があり、蛇を見たくない人は自分で見えないようにしているのです。放射能も同じで我々には見えませんが、それをいいことに、我々が放射能に汚染されている現実を見ないで済ませようとする人たちがいるのです」
スローフードは、原発災害に「観て見ぬ振り」はできません。
私たちは、お皿の外を見るのですから……。

(注:スローフード新宿応援団はスローフードのサポート組織で、スローフードジャパンに加盟する支部ではありません)

レストラン「六本木農園」で
スローフード勉強会

投稿日 2012年03月08日

2月26日、東京・六本木の「六本木農園」で、勉強会を開きました。「六本木農園」は、小中規模の生産者と農業・漁業などへ新規就業を目指す若い世代を支援するために、いまから3年前の8月にオープンしたレストランです。第一回目の今回は、スローフードすぎなみのメンバー、高円寺「さわやこおふぃ」の中澤さん、スローフードのメンバーではありませんが中澤さん同様コーヒー豆の自家焙煎にこだわる「松屋珈琲」の畦柳さんからコーヒーについてお話がありました。また、東京に住みながらスローフード秋田の会長を務め、北東北ブロックの理事としてスローフードジャパン副会長でもある石田さんから先日イタリアで開かれたスローフード国際理事会へ出席した報告がありました。次回は3月25日に、スローフード福島事務局長、「人気酒造」の遊佐さんと、福島のメンバーで高品質のキュウリを栽培している斉藤さんからお話を聞きます。原発災害で風評被害を受けた斉藤さんのキュウリを、私たちは昨年高円寺「座の市」(4月16日)http://www.slowfood-suginami.com/forum/etc/2011/04/1659/や「被災者応援マルシェ」(4月30日、5月1日) http://www.slowfood-suginami.com/forum/etc/2011/05/1844/で販売し、メンバーが福島市の斉藤さんの農園を実際に訪れています。

第2回スローフード勉強会
日時:3月25日(日曜日)午後3時~午後8時30分(懇親会を含む)
場所:レストラン「六本木農園」http://roppongi-nouen.jp/                            会費:¥6,000円(スローフードメンバー¥5,500円)
申込先:ws@roppongi-nouen.jp

東日本大震災 支援⑪
高円寺・被災地応援マルシェ(市場) vol.3

投稿日 2012年02月23日

2月18日、スローフードすぎなみTOKYOは高円寺で開かれた「第2回高円寺演芸まつり」で、東日本大震災に被災した宮城県気仙沼市「男山本店」と福島県二本松市「人気酒造」の酒を売りました。

「男山本店」は津波で港に面した事務所が全壊し(参照→http://www.slowfood-suginami.com/forum/etc/2011/03/1361/)、「人気酒造」は地震による地割れのため蔵の場所を移転せざるをえませんでした。この日用意した酒は焼酎・リキュールなどを含め全部で60本。北風が冷たく東京ではとくに寒さを感じる日でしたが、その60本全部を完売しました。御協力、ありがとうございました。

東日本大震災 支援⑩
スローフード と 震災 と 「絆」

投稿日 2012年02月08日

日本を文字通り震撼させたあの日から、もうすぐ一年がたとうとしています。          この一年間、私たちスローフードすぎなみTOKYOそして私たちと交流のあるスローフードの支部(コンビビウム)は、 東日本大震災と原発災害にどのように向き合ったのかを、まとめました。                               私たちは何をして、何をしなかったのか……。                       スローフードの「絆」はあったのか……。                          被災しなかった私たちの次の一歩は、その問いを心に刻んで始まります。

緊急アッピール!! 東日本大震災  がんばれ!! スローフード気仙沼         http://www.slowfood-suginami.com/forum/etc/2011/03/1361/

東日本大震災 支援① スローフード秦野からのたより               避難所で、蕎麦打ち                                                                           http://www.slowfood-suginami.com/forum/etc/2011/04/1471/

東日本大震災 支援② チャリティー in 「座の市」                  風評被害を受けた 福島県産キュウリの販売        http://www.slowfood-suginami.com/forum/etc/2011/04/1659/

東日本大震災 支援③ スローフードベルリンからのたより            日本食のチャリティービュッフェ                  http://www.slowfood-suginami.com/forum/etc/2011/04/1489/

東日本大震災 支援④ スローフード沖縄・奄美からのたより           福島原発の被災者など、15家族受け入れ                                        http://www.slowfood-suginami.com/forum/etc/2011/04/1744/

東日本大震災 支援⑤ 高円寺・被災地応援マルシェ(市場)           完売 続出!                           http://www.slowfood-suginami.com/forum/etc/2011/05/1844/

東日本大震災 支援⑥ スローフード気仙沼への支援金              合計940,997円を、手渡す                                                             http://www.slowfood-suginami.com/forum/etc/2011/05/1921/

補足説明:東北被災地取材DVDの上映              http://www.slowfood-suginami.com/forum/etc/2011/07/2032/

スローフード福島からのたより 『福島の現状を語る会』開催http://www.slowfood-suginami.com/news/2011/08/2094/

東日本大震災 支援⑦ 2011年大晦日 私たちは、忘れません!!        歴史に刻まれた年から、新たな歩みへ                                                        http://www.slowfood-suginami.com/news/2011/12/2138/

東日本大震災 支援⑧ 宮城県・長面(ながつら)浦の焼きハゼ          仙台の雑煮に欠かせない 伝統食材が危機に                                   http://www.slowfood-suginami.com/forum/etc/2012/01/2236/

東日本大震災 支援⑨ 気仙沼・冬                           スローフード気仙沼のみなさん、元気をありがとう……                          http://www.slowfood-suginami.com/forum/agri/2012/01/2309/

スローフード秦野からのたより

投稿日 2012年02月02日

私たちが活動する神奈川県秦野市周辺は、明治時代に日本で初めて落花生が栽培された地域です。いまでは落花生の主な生産地は千葉県に移りましたが、かつて秦野では落花生を大豆の代わりに使った味噌が造られていました。私たちはその落花生味噌を復活させる活動を行っています。
1月29日、メンバーなど20人近くが集まり、昨年2月に仕込んだ落花生味噌の完成・試食会を開きました。一年間寝かせて熟成させた落花生味噌は、昔風なので少し塩辛いものの大豆の味噌にはない濃厚な味がします。この落花生味噌を使いディップやドレッシングなどのほか、市内菩提の「ラーメン福福」さんに味噌ラーメンを作っていただきました。
その食卓を囲んで、秦野の特産物や今年の味噌造りなどの話をするうちに、この落花生味噌で何か東日本大震災の被災地へのお手伝いができなか、という提案が出ました。そこで、私たちスローフード秦野は「ラーメン福福」さんとのコラボレーションでその落花生味噌ラーメンを販売していただき、売り上げの一部を被災地のコンビビウムの支援に使わせていただく事になりました。落花生味噌ラーメンは2月中旬から、「ラーメン福福」さんhttp://rp.gnavi.co.jp/5914554/で味わえます。(¥600円・落花生味噌がなくなったら終了します)

秦野の特産物・落花生をこれからもよろしくお願いします。

<落花生味噌のディップ>

○材料
落花生味噌、マヨネーズ、ピーナツバター(甘くない物)
○作り方
上記3つの食材を合わせ、泡立て器でかき混ぜながら酒(或いはブランデー)を少量加え、味を調える(砕いた落花生を加えても良い)

 

東日本大震災 支援⑧
宮城県・長面(ながつら)浦の焼きハゼ

投稿日 2012年01月20日

東日本大震災は、私たちの味覚にも痕跡を残します。
仙台の雑煮に欠かせない焼きハゼで、もっとも伝統的な長面(ながつら)浦の焼きハゼが消えてしまうかもしれません。
それぞれの地域で、数少ない生産者によって受け継がれてきた食材・食品を残す活動は、スローフードが提唱する重要なテーマのひとつです。

<長面浦の焼きハゼ>は、2005年ほかの8品目とともに日本で初めてスローフードの「味の箱船(ARK)」に選ばれました。「味の箱船」とは、このままでは消えてしまう伝統的な食品・食材を、世界的なガイドラインに沿ってリストアップするスローフードの国際的なプロジェクトです。焼きハゼは松島湾などでも作られていますが、<長面浦の焼きハゼ>には焼いた後に煙で燻す古い製法が残されていました。また、その製法を代々受け継いできた事が評価され、「味の箱船」にリストアップされたのです。

(←長面地区の子供たちが通った大川小学校で。ここで、74人の児童が犠牲になった)

 

長面浦は北上川の河口に接する海水が出入りする湖で、周囲8キロほど。牡蠣の養殖やハゼ漁が行われていました。その湖に面した長面地区は津波のために漁港も含めたすべてが失われ、満潮のときは地震による地盤沈下で、住宅地のほとんどが海水に浸されます。震災前、約500人が住んでいた長面では、69人が亡くなり25人がいまも行方不明です。焼きハゼを作っていた榊照子さん(68)のお父さんの遺体が見つかったのは、9月17日でした。

追波(おっぱ)川河川運動公園の仮設住宅で、照子さんは語ります。「被災後は、長面浦には行きたくありませんでした。でも、6月に避難所からここへ移り、7月に船が瓦礫の中から見つかったので、せめて漁網だけでも注文しようと思いました。父の遺体が見つかったのは、9月です。スローフード宮城の方は、震災直後から何回も訪ねてきて、焼きハゼ作りの再開に協力を申し出てくださいました。長面浦では、ほかの魚はほとんど獲れなくなったのに、ハゼだけは獲れるんです。それで、もういちど作ってみようと決めたのは11月頃です」 照子さんは、12月に50連約600匹の焼きハゼを作りました。              (↑写真上 左・榊照子さんの家があった周辺。 写真上 右・潮が満ちてくると海面になる、と言う。→写真右 上・運動公園の仮設住宅。写真右 下・左側が照子さん。右側はお母さん)

しかし、スローフード宮城とスローフード仙台のメンバーが壊れた車庫を利用して作った、ハゼを焼くための仮作業場はもうすぐ取り壊されます(↓写真下)。次の作業場は、場所さえまだ決まっていません。また、岸壁も全壊したため、ハゼ漁に使う船はかろうじて残った堤防の片隅に係留されています(←写真左)。<長面浦の焼きハゼ>作りは、この冬なんとか再開できたものの、来シーズンの見通しは立っていないのが実情です。スローフード宮城とスローフード仙台では、<長面浦の焼きハゼ>復活募金を、下記のように行っています。

①募金額 / 一口¥3,000円(少額でも、何口でも結構です)
②振込先 / 杜の都信用金庫 本店営業部
口座名義: スローフード宮城
口座番号: 普通預金 1581336

 

<長面浦の焼きハゼ>がリストアップされている「味の箱船」は、スローフードが考える生物多様性につながっています。スローフードが考える生物多様性は、科学的な意味での多様性だけではなく文化としての多様性です。そして、味覚は文化の多様性を語る要素のひとつです。       <おいしい・きれい・ただしい>を掲げるスローフードの原点は、そこにあります。                <長面浦の焼きハゼ>が姿を消すとき、それは何を意味するのでしょうか……。 

 (↓かつての長面地区)

 

東日本大震災 支援⑤
高円寺・被災地応援マルシェ(市場)

投稿日 2011年05月04日

スローフードすぎなみTOKYOは、4月30日/5月1日の二日間、
福島原発災害の風評被害に遭っている生産者の方たちを支援するため、
<被災地応援マルシェ(市場)>を、JR高円寺駅南口広場で開きました。

このイベントのきっかけとなったのは、昨年、宮崎県で広がった口蹄疫への支援イベントを、スローフードすぎなみTOKYOと一緒に行った大学生グループの一人、神野政史(東京農大3年)さんの想いです。(参照→http://www.slowfood-suginami.com/forum/agri/2010/07/790/

 

実家が、福島第一原発から避難を強いられる計画的避難地域・川俣町の一部にある神野さんは、放射能汚染の風評被害を受けている多くの地域の生産者に、何かアクションを起こせないか、と思いました。その想いに応え、スローフードすぎなみは4月30日/5月1日に開かれる<第3回高円寺びっくり大道芸2011>で、風評被害を受けている地域の方たちに、生産物を販売する場を、自分たちの力でささやかながら作ろう、と考えたのです。スローフードすぎなみTOKYOの呼びかけに応えてくださったのは、スローフード福島、スローフード茨城(写真右上・サブリーダーの中川純一さん)、農家の若い世代の就農を目指すレストラン・東京/六本木の「六本木農園」(写真右下・弥生一葉さん)、福島県の「JAしらかわ」など。

スローフードすぎなみは、前回の「座の市」に引き続き、スローフード福島メンバーである斉藤保行さんのキュウリ、同じく福島のメンバーである人気酒造の日本酒・リキュール・「食べる酒粕」などを販売し、スローフード茨城は、レタスなどの生鮮野菜のほかに、小鯛やカレイなどの魚介類も持ち込みました。また、六本木農園の生産者グループは、鈴木農園の「ジャンボなめこ」、内山さんのサツマイモ、堀米農園のウド、田中さんのnippa米、若手生産者グループ「農援隊」のコメ・アスパラなどを網羅。JAしらかわは、コメ・餅・イチゴ・野菜などを売りました。

今回、販売の中心になったのは、スローフードすぎなみのメンバーや、その知人・友人の女性たちです。彼女たちが担当する斉藤さんのキュウリ、人気酒造の日本酒などは次々に完売し、日本酒は追加注文を出しました。手伝ってくださった女性のなかに、実家と田が津波で被災し、さらに福島第一原発の警戒区域に指定され、故郷に立ち入ることができない浪江町の方もいらっしゃいました。                                          「風評」は姿や顔・形が見えない場所から、想像力で生まれます。2日間、呼びかけ、売り続けた女性たちのエネルギーは、その被害を風のように吹き飛ばしたのかもしれません。         そして、浪江町の方にいただいた、津波に侵される前に穫れた「最後の玄米」の味わいに、言葉を失ってしまいました・・・・・・。

スローフードベルリンからのたより

投稿日 2011年02月28日

スローフードベルリンのメンバー、ベルリン在住の河野章子さんから便りが届きました。SFベルリンでは、毎月1回、テーマを決めて料理作りをしています。今回のテーマは「調味料と香り」で、2月23日に13人が集まって、ベルリン市内で開かれました。この料理作りは、ベルリン周辺の生産物などを使い、これまでも「レンズ豆」「キャベツ料理」「牛肉の食べ比べ」などを行ってきました。メンバーと会合で会ったり食事に行ったりするより、一緒に料理を作ることで、メンバー同士が本当に打ち解け合い、話し合えるようになるそうです。

家庭では、普段たくさんの香辛料を一度に味わうことが不可能なため、さまざま香辛料を使ったさまざまな料理が味わえて、メンバーは大満足だった、と、河野さんは伝えてくれました。

↑(左)焼いたヤギのチーズのカルダモン風味、オレンジの花から採取した蜂蜜添え。(右)キャベツのスープ、ピメントン風味、ショリツォサラミ(スペインの唐辛子味のサラミ)添え↑(左)レッドビーツ(赤蕪)の塩竃焼きの薄切り、生牡蠣ソース和え。(右)タラのタンドリーヨーグルト煮、レンズ豆添え

↑蒸し鶏山椒風味香味醤油かけ。(日本の山椒と中国の山椒の、製法の違いからくる味の違いを伝えました)↑(左)マカデミアンナッツ入り羊の肉団子、ヒヨコ豆のカレーソース和え。(右)パイナップルのタスマニアペッパーとラム入りカラメル和え、塩と胡椒のブラウニー(チョコレートケーキ)添え

スローフードベルリンの仲間たちは、来年、日本にやってくる予定です。

Photo by Ulrich Greiner

スローフードベルリンからの便り

投稿日 2010年10月12日

スロフードベルリンのメンバー河野章子さんから、便りが届きました。ベルリンは、日本最北の地、北海道の稚内(北緯45°20′)よりもずっと北の、北緯52°30′(日本付近で言えばサハリンの北部)にあります。でも、ぼくの印象では、冬は位置から想像するほど寒くはありません。札幌の冬の方が、ずっと寒いです。そんなベルリンにも、秋色は濃いようですね。

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ヤギのエコ農家を訪ねて

↑ヤギのチーズを、焼いたパンに載せたサラダ

10月10日の日曜日、私たちスローフードベルリンのメンバー20名は、約130キロ離れたヤギと乳牛のエコファームを訪ねました。ドイツでは料金さえ払えば、地下鉄やその他の電車の車内に自転車を持ち込める為、20名のうち15名は電車と自転車にて現地に集合しました。(ちなみに、自転車料金込みで、約100キロの往復運賃は一人あたま1200円くらいでした。)

↑クヌーデル(パンと卵の団子)

日本では、羊やヤギのミルクと肉はあまり食卓には並びませんが、ヨーロッパでは季節ごとに欠かせないものとなっています。日本人の私は、いまだに羊やヤギの独特の香りと味に馴染めませんが、ドイツ人がとてもおいしそうに食べているのを見て、食文化の違いをつくづく感じています。経営者とコックさんたちは、とても若く、また内面から湧き出てくるパワーとやさしさがありました。きっと自分たちの仕事を誇りに持って、楽しんでいられるのですね。

↑ヤギ肉の煮込み、クヌーデル添え

私が子供の頃、神戸の六甲の酪農園で絞りたてのヤギのミルクを飲んだ覚えがあります。あまりおいしいと感じませんでしたが、、、。

ドイツでは絞りたてのミルクをRohmilch(ローミルヒ、生牛乳)としてその場のみで売られ、その価値は誰もが知っています(火入れを

↑ヤギのミルクのアイスクリーム、2種の木の実ソース添え

していないミルクはすぐに悪くなるため)。あるジャーナリストによれば、そのミルクを布で覆い、窓のそばにつるして水分を濾すと、固形物が残り、それをバターかチーズのようにしてパンにつけて食べるのだそうです。ビタミンやミネラルがたくさん取れる食材なのです。

ヤギをなでた手が、ヤギの肉とチーズのにおいがしました。やはりいまだに馴染めません。

スローフードインターナショナル副会長       ヴァンダナ・シヴァさん 東京で講演

投稿日 2010年10月01日

9月29日、午後3時半から新宿の京王プラザホテルで、スローフードインターナショナル副会長、インドの物理学者・社会運動家・エコロジストであるヴァンダナ・シヴァさんの講演がありました。これは、私が所属する日本ペンクラブが開催した「国際ペン東京大会2010」のプログラムのひとつ、<国際環境文学者会議 - –環境文学     いま、何を書くか>と題されたものです。シヴァさんは前日、日本に着き、当日(29日)の夜インドに帰るという超ハードスケジュール。それにもかかわらず、講演のあと、SFすぎなみTOKYO代表の佐々木俊弥さんと短いながらも会ってくださいました。

以下、講演と会談の内容です(文章はToshi-Shunさん)。

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ガイアとは、自ら組織化を行うライフシステムである。
われわれ人類は、自然の一部としての存在であり、その意味では平等である。
しかし、人類は自然を征服し、コントロールするものとみなしてきた。
私たちの種も会社が特許で押さえ、莫大な利益を得ている。
それを打破するには、生物多様性の活用しかない。
どうやって?
恩恵を分かち合うという精神が必要だ。
ニームはインドで普通に生活とともにある植物だったが、特許で押さえられ33,000人もの人が農薬被害で死んでいる。
バスマチ米はアメリカのテキサス州の会社が特許を押さえてしまった。
モンサントは、今日最も大きな種の所有会社の一つだ。
たった5つの会社で得る特許収入は、年間1兆ドルにものぼる。
遺伝子組替えの技術の発達で、人間の遺伝子を羊に組み入れてミルクがでやすいようにしたりしている。
かつて、インドには20万種ものお米があった。
大豆の特許もモンサントが押さえ、ラウンドアップという自社の農薬とセットで種を売っている。
小麦も、綿花もそうだ。
5ルピーの綿花の種が、特許料込みで3,000ルピーで売られる。
これで20万人もの農民が自ら命を絶った。
種を守るべく“Navdanya”という村で種の保存を行っている。
50万人の農民が、そこではオーガニックな農業を行っている。
この東京でも、私が関わるスローフードの仲間が、在来のトウガラシの種を配布し広げている。
ブータンではGNP(国民総生産)の代わりにGNH(国民総健全性)を基準にしている。
自然の一部としてのわれわれの生を取り戻すべきときだ。

講演終了後、すぐ飛行機に乗らなければならないというシヴァ氏に、ほんの少しなら、ということで、インタビューを試みました。

ぼくが真っ先に投げかけた質問は、
「オバマ大統領を、どう評価しますか?」

シヴァ氏の答えは、
「とても注意深く見守らなければなりません。彼の周りにいるのはモンサントと関わりのあるブレーンばっかり。ということは、生物多様性やエコロジーとは真逆なことを彼は目指しているということです。
ミシェル夫人がホワイトハウスの前に有機の農園を作ったりしているのに夫婦で正反対のことを行っているのは、全くもって解せません。」

「スローフードUSAは運動としてはとてもよくやっていると思いますが」

「よくやっています。ジョシュ(ヴィアテル)のリーダーシップが功を奏しています」

「アメリカのような明確な運動目標を、日本ではなかなか見つけにくい。ご存じのように、日本の食料自給率は40%とされ、それを当面50%に上げていくというのが国の目標です。しかし、その背後でF1種の科学技術がものすごく発展しています。ぼくはそこに危機感を感じています。日本のスローフード運動に、どのような活動をすべきか、アドヴァイスをいただけますか?」

「F1の種ではない、在来の種を守り、育てていくことはとても大事です。在来の種を守るために各地にコミュニティ・シード・バンクを作ってはどうですか。
それと、GMO(遺伝子組替え作物)にきちんと反対の運動をしていくべきです。日本だからこそそれはできるはずです」


「それはほんとうにぼくもその必要性を感じています」

「Navdanyaのことはご存じですか?」

「あなたの著作で読み、少しだけ知っています。さっきの講演でも触れておられましたね」

「この本が最新のものです。これを差し上げます。インドに来られるときは、ぜひここにいらしてください」

と、本をいただきました。

スローフードの市場を始めます      高円寺<座の市>開催

投稿日 2010年09月13日

スローフードすぎなみTOKYOは、高円寺あずま通り商店会、「座・高円寺」(杉並区立杉並芸術会館)と共催して、ささやかながら定期的なスローフードのマーケットを始めます。第1回目は、9月18日(土曜日)午前11時から。場所は高円寺の劇場「座・高円寺」の前の小広場(雨天の場合、劇場内ロビー)。今後、毎月第3土曜日に、その小広場で、地元の商店会や知り合いだけではなく、スローフードの全国のコンビビウム(支部)にも呼びかけて、スローフードの理念に添った食材・食品を販売してゆく計画です。

(↑写真は会場となる「座・高円寺」のエントランス)

今回、スローフード長崎から、スローフードの<味の箱船>(消滅の危機にある食材・食品>にリストアップされているエタリ(カタクチイワシ)の塩辛、雲仙コブ高菜の漬け物、スローフード福島からは、自家栽培の酒米「人気しずく」を使った「雪うさぎ純米吟醸」「夢うさぎ本格米焼酎」などが届きます。それ以外にも、選りすぐりの食材・食品がたくさん。皆さんお誘い合わせの上、ぜひご来場下さい。

<口蹄疫をブッ飛ばす!!>                                              元気!熱気!「食」い気!                 ~宮崎牛を食い尽くせ!!~

投稿日 2010年06月20日

昨日(19日)、午後0時30分から狛江市の多摩川河川敷で、東京農大を中心とする学生グループ/SOLAによる、バーベキュー大会が行われました。

 このバーベキューは、私たちスローフードジャパン東京・神奈川ブロックが、先月(5月15日)に発した緊急アピール<かつてない口蹄疫の発生について>‘10.05.15 appealに応えて、SOLAのメンバーが自分たちで企画・開催しました。口蹄疫の風評被害により買い手が付かなくなった非感染の宮崎牛を、お腹いっぱい食べて、宮崎の畜産農家を応援するのが目的です。募金動だけではなく、バーベキューを行ったのは、二つ理由があります。一つは、食べる「楽しさ」を通して応援すること、二つ目は、入手できる非感染の宮崎牛を実際に食べて、風評を吹き飛ばすこと、でした。前夜の激しい雨にもかかわらず朝には雨も上がり、開催時刻には時折日も差す、絶好のBBQ日和。会場には、計画を上回る250人近くが集まりました。そして、100Kg以上用意された肉は、「完食」。すべて参加者のお腹に収まりました。これだけ大規模のイベントを混乱無く進行させたスタッフに、頭が下がる思いです。若い世代を、見直しました。脱帽します!

今回使われた肉のトレサビリティーの一例を、以下に記します。

個体識別番号 0833100892 の切り落とし肉の場合   2010年6月4日 「永山畜産」(宮崎県都城市志比田町)から出荷                        6月5日(株)ミヤチク高崎工場で解体処理          6月8日佐野プレミアムイタリアン(栃木県佐野市大橋町)に入荷後、佐川急便の保冷庫に保管。

この肉の入荷後、6月10日、都城市で牛3頭の口蹄疫感染が確認されました。感染が確認されると、その感染場所から半径10Kmが家畜の移動制限区域に指定され、20Kmまでは搬出制限区域に指定。牛や豚の出荷ができなくなります。今回使ったのは、感染の確認以前に出荷された肉です。都城市では、6月15日に行った、感染源から1Km以内の家畜のウィルス検査の結果、全て陰性(非感染)でした。さらに、6月17日現在、都城市では、新たな感染・感染の疑いの報告はありません。

バーベキューに使われた肉には全て個体識別番号が付けられ、 https://www.id.nlbc.go.jp/top.html でトレサビリティーを確認できます。そのうえ、さまざまな厳しい検査を全てパスしたものでした。つまり、安全な肉でなければ、私たちは入手できないのです。逆に言うと、販売される宮崎牛は、安全なのです。だから、<安全な>宮崎牛をドンドン食べて風評被害を減らし、宮崎県の畜産農家を応援しましょう。そして、SOLAの皆さん、これからもガンバレ!!

宮崎和牛を食いつくせ!!                                  ~学生200人BBQ@多摩川~

投稿日 2010年05月27日

東京農大を中心とする大学生のグループが、以下のイベントを行います。SFすぎなみメンバーは、このグループと5月13日に高円寺で初めて会いました。そして、15日にスローフードジャパン 東京・神奈川ブロックが採択した<緊急アピール>、翌週からのマスコミによる一斉報道がきっかけとなり、彼らが「自分たちにできること」を考えた結果です。SFすぎなみは、彼らを応援します。

皆さんお誘い合わせの上、ご参加ください。

宮崎和牛を食いつくせ!!            ~学生200人BBQ@多摩川~  

 【初めに】

今猛威を奮っている口蹄疫。毎日被害の状況が伝えられてきますが、意外と知られていないのが非感染農家の方。風評被害で宮崎牛の価格が半額近くまで下がっているにも関わらず、口蹄疫に感染していないために補助金がもらえず、大打撃を受けているそうです。

   そこで僕たち学生に何か出来ることはないか?社会人よりも僕たちが勝っているものは何か?   さえない脳みそを使っていろいろ考えた結果、僕はそれが“食欲”だと思いました。笑   現地のお肉を食べて消費量を伸ばし、それをメディアを使って大々的にPRすれば風評被害も軽減されるはず!そんなことを思って、このBBQを企画しました。

   今回は“とにかく宮崎和牛をたんまり食べていただきたい。” そんな趣旨なので、参加費いっぱいいっぱい、一人500gもの宮崎和牛を用意します!宮崎牛を大量に卸売り業者さんから直接購入するためにできることで、通常ではありえない破格の値段です。 (気になる方は和牛相場をチェックしてみてください。) この値段でこんなに和牛を食べられる機会はまたとないので、この機会に是非ご参加ください!   宮崎のためになることを、美味しく・楽しく出来るなんて素敵じゃないですか^^?   以下、イベント詳細になります。

 【詳細】

◆日時:6月19日(土) 11:00~14:00

※ 雨天中止(中止の際は前日18日(金)の20時までにご連絡させていただきます)

 ◆実施場所:和泉多摩川河川敷(小田急線和泉多摩川方面)           最寄り駅:小田急線和泉多摩川駅 ※現地集合 当日和泉多摩川駅に案内の者がおります。

◆持ち物(必要に応じて):帽子、タオル、日焼け止めクリーム、旺盛な食欲(※必須!)  

◆参加費                                                                   学生:2500円 社会人:3500円 中学生~小学生:1000円小学生以下:無料

※参加費に含まれるもの:宮崎和牛500g、無農薬野菜(農業サークルより提供)、ソフトドリンク、BBQ資材代   ※今回、お酒はお出ししません。その分安くしていますので、とにかく肉!、肉!を全力で食べてください!!(お酒が必要な方は各人お持ちになってください。)

 ◆定員:200人   ◆申し込み期限:6月15日(火) 18:00  

 【申し込み】

参加される方は下記宛まで・お名前・参加人数・各参加区分(学生、社会人、中学生~小学生、小学生未満) ・連絡先の3点を下記までご連絡ください↓(ご質問もこちらで受け付けています。)

 連絡先:miyazakibbq100@gmail.com ※イベントの変更連絡、当日連絡等はメーリングリストを作成し、そちらの方からお送りさせていただきます。

  【イベント責任者】鵜澤佳史東京農業大学国際農業開発学科3年連絡先:yoshiu4423@yahoo.co.jp

<かつてない口蹄疫の発生について>                                 緊急アピール・続報

投稿日 2010年05月22日

今日(21日)、宮崎日日新聞報道部の記者から連絡があり、先日発したスローフードジャパン 東京・神奈川ブロックの<緊急アピール>(抜粋)が、宮崎日日新聞の特設webサイト「激震・口蹄疫」、<絆メッセージ>のページに掲載されるそうです。この<絆メッセージ>は、本紙の紙面に掲載されたものを、web化しています。掲載がいつになるのかわからないほど(おそらく、来週中とのこと)、多くのメッセージが殺到しているそうですが、私たちの発した言葉が、そのメッセージのひとつになり、被害者の方たちに少しでも伝われば幸いです。

宮崎日日新聞の特設webサイト「激震・口蹄疫」

http://www.the-miyanichi.co.jp/special/kouteieki/index.php

<かつてない口蹄疫の発生について>                                        スローフードジャパン 東京・神奈川ブロックからの緊急アピール

投稿日 2010年05月16日

埋められる疫蓄を見守る生産者の方(/共同通信)

皆さん。九州・宮崎県で、牛や豚などの家畜が罹る病気「口蹄疫」が、日本の畜産史上最大の規模で発生していることは、ご存じかと思います。私たち、スローフードすぎなみTOKYOが所属するスローフードジャパン東京・神奈川ブロックは、昨日(15日)のミーティングで、この事態への「緊急アピール」を採択しました。会員の皆さんに口蹄疫の実情を伝え、被害に遭われた方々へ声援を送るためです。以下から、お読みください

‘10.05.15 appeal

また、地元の宮崎日日新聞では、口蹄疫に関するwebサイトを特設しています。被害者の方たちへ励ましのメッセージをお寄せください。

http://www.the-miyanichi.co.jp/special/kouteieki/bbs.php?id=20100515&paging=1

<内藤とうがらし>                新宿・伊勢丹本店デビュー             スローフード江戸東京からの便り

投稿日 2010年05月15日

新宿・伊勢丹本店の地下食品売り場に、スローフード江戸東京が復活を目指す<内藤とうがらし>がデビューしました。食品売り場に出店している8つの店舗が、内藤とうがらしを使ったオリジナルな和菓子や総菜を発売中(~18日まで)なのです。昨日の夕方、ようやく食品売り場を覗くことができました。

売れ行きは好調なようで、限定品ということもあってか、8店舗中6店舗はすでに完売。そこで、文明堂新宿店の「御笠山」を買って試食しました。白餡に白味噌と内藤とうがらしを練り込み、特製の生地で包んだ特製「御笠山」は、甘さよりも味噌の風味が引き立ち、その後に唐辛子のピリ辛がやってきます。これなら、日本酒のすっきりした大吟醸の「肴」にもなるなァ、と感じました。

このスローフード江戸東京と伊勢丹本店のコラボレーションは、日経新聞5月7日首都圏版でも取り上げられています。(記事の写真をクリックすると、内容が読めます)。

<内藤とうがらし>の苗は、今日、旧四谷第四小学校で、地域の人たちの配られます。また、伊勢丹本店の7階でも、今日と明日、希望者に苗が配られます(先着300本限定)。私たちの仲間であるスローフード江戸東京の<内藤とうがらし>プロジェクトを、これからも応援してゆきます。

<内藤とうがらし>プロジェクト

http://www.togarashinet.oishiimizu-taishikan.net/

日本人の腸内細菌群は海藻の消化に適していることが判明

投稿日 2010年04月08日

日本人が戦後、ミネラル摂取量が減ってきたという、その一因とされているのが海藻を食べる量だと言われます。

ところが、水産庁のHPから、戦後の海産資源についての生産量と自給率の推移を見てみると、確かに海藻も含め全体的に落ちてきているものの、海藻に関しては自給率も67%で、ここ数年は回復基調にあります。

日本は海に囲まれた国。
もちろん、海に面してない地域も多数ありますが、海産資源の恩恵はずっとずっと大きかったわけで、今後も、これは失ってはならない部分でしょう。

特にぼくは、海藻の復活を足掛かりに、海産資源全体へと輪を広げていけないかなあ、と考えております。

のり食べる生活に適応=日本人の腸内細菌群-消化遺伝子取り込む・仏大学
4月8日2時7分配信 時事通信

 のりやワカメ、昆布などの海藻をよく食べる日本人の腸には、海藻に含まれる多糖類の分解酵素を持つ細菌がいて、消化に貢献している。この多糖類の分解酵素遺伝子は、海藻に付着している細菌から取り込まれた可能性が高いことが分かった。フランスのピエール・マリー・キュリー(パリ第6)大学の研究チームが8日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
 この多糖類分解酵素「ポルフィラナーゼ」の遺伝子や、寒天の主成分アガロースの分解酵素「アガラーゼ」の遺伝子は、米国人の腸内細菌群からは見つからなかった。腸内に共生する細菌群は、人間の食生活に適応しているとみられるという。
 日本人の母と乳児では、ともにこれら2種類の遺伝子が腸内細菌群から検出された。細菌群が母から子へ伝わる経路もあると考えられる。 

食糧自給率の<不思議>

投稿日 2010年04月07日

なぜか無視される「生産額ベース自給率65%」という数字

なぜか無視される「生産額ベース自給率65%」という数字

生産額ベースでなら、「我が国の食料自給率は70%あり、主要先進国と比べてもそんなに悪い数字ではない」と発表することもできますね。ちなみに、生産額ベースの自給率が100%を超えるのは、単純に食料の輸入額を輸出額が上回っているからです
図版デザイン/坂井大輔

 

「日本の食料自給率はたったの40%!」…こんな報道を耳にしたことはないですか? 農業や食糧問題を論ずる際、必ずといっていいほどこの「自給率」が引き合いに出されます。でも、自炊してる人はわかると思いますが、スーパーの棚に並んでいる農産物はだいたい国産なんですよね。農家で大量廃棄される野菜がニュースになったりしますし、コメにいたっては長年減反政策がとられています。どうも一般的な生活実感とズレているように見える自給率ですが、いったいどういう数字なんでしょう?

農林水産省によれば、食料自給率とは「国内の食料消費が、国内の農業生産でどの程度賄えているかを示す指標」で、個別の品目によらない総合的な自給率を表すものとして「カロリーベース総合食料自給率」と「生産額ベース総合食料自給率」があります。で、広く世間に流布しているのは「カロリーベース」の方。計算式にすると、

1人1日あたりの国産供給カロリー ÷ 1人1日あたりの供給カロリー

となり、最新値である2008年の数字を見ると、分子が1012kcal、分母が2473kcalで、自給率は41%です。一方の生産額ベースは、

食料の国内生産額 ÷ 食料の国内消費仕向額(国内で消費される食料の生産額)

で、同じく08年の数字なのに分子10.0兆円、分母15.3兆円で自給率65%と、ずいぶん高くなります。しかし、こちらの数字が表立って報道されることはほとんどありません。もともと食料自給率は、1965年から生産額ベースだけで発表されていたのに、83年にカロリーベースがひょっこり現れて以降、生産額ベースの自給率はすっかり影が薄くなってしまいました。結果、「40%」という数字だけが刷り込まれ、国民のあいだには漠然とした自給率への不安が募り、農水省には巨額の「自給率向上対策費」が割り当てられるようになりました。

そもそも、我が国では「自給率」が幅を利かせていますが、実は自給率を計算しているのは日本と韓国だけで、諸外国ではまったく問題視されていません。よく日本と比較される主要先進国のカロリーベース自給率も、農水省がFAO(国際連合食糧農業機関)の統計から“独自に”はじき出したものです。さらにいえば、日本の数値が高めに出ている生産額ベースでの各国比較は、不自然なほど話題になりません。まるで「日本は先進国中最低の自給率!」といいたいがためのデータのような、作為的なものを感じてしまうんですよね…。

webR25 2010.03.30 より転載

残した料理をドギーバッグに

投稿日 2010年03月29日

あさみです。
3月27日土曜日の読売新聞にドギーバッグの記事が出ていたので転載します。
立川ツアーでもインタビューをやりますが、私は自己責任で持って帰るのはアリというのことでいいと思います。もったいないですから。

 http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/cooking/20100327-OYT8T00281.htm

 飲食店で料理を食べ残してしまい、もったいないと感じる人は多いだろう。

 食品の廃棄を減らすため、余った料理を入れて持ち帰る容器「ドギーバッグ」の利用が広がりつつある。ただ、食中毒には十分注意しよう。

 ドギーバッグは、折りたたんでバッグなどにしまえるケーキ箱のような形で、洗って繰り返し使えるものが多い。大手スーパーや雑貨店に置いてあり、一つ400~1000円程度だ。

 食べられるのに捨てられる食品は、国内で年間500万~900万トンと推計されている。食中毒が心配で持ち帰りを断る店が多いが、最近は環境保護の観点から、持ち帰りOKの店も増えている。

 横浜などで3ホテルを展開する国際ホテルは、立食パーティーの料理のうち、冷めても傷みにくい香港式焼きそばなど14品目を、希望する客に持ち帰ってもらうサービスに乗り出した。

 レストランの「TGIフライデーズ」は4月7日まで、ドギーバッグを持参して持ち帰ると飲食代を10%値引きするキャンペーンを行っている。

 持ち帰りが可能な店かどうかを見分けるのに便利なのが、「残した料理 お持ち帰り頂けます」と書かれたステッカー。特定非営利活動(NPO)法人のドギーバッグ普及委員会(山本啓一郎理事長)が、客の自己責任での持ち帰りに賛同する飲食店に配布している。現在は約200の飲食店がステッカーをはっている。

 持ち帰った食品で食中毒などを起こさないための注意点を表に掲げた。(経済部 竹内和佳子)

2010年3月27日  読売新聞 yomiuri onlineから転載

クロマグロ禁輸否決・・・遠洋漁業と、“G8”の一員であることと

投稿日 2010年03月20日

ワシントン条約の締約国会議で、懸案の大西洋クロマグロ禁輸案が否決されたのは、とりあえず日本の庶民の食卓にとっては、朗報といえるでしょう。

しかし、海洋資源を世界の海に出かけていって獲りまくる、という行動に対しては、今後も風当たりが強まるように思えます。

ここへきて、連日注目されているのが、“近大マグロの完全養殖”。
http://www.flku.jp/aquaculture/tuna/index.html

昨年訪問してきた長崎県対馬でも「トロの華」のブランドでマグロ養殖を行っていますが、これは“畜養”ですね。

畜養については、結局は天然資源を獲ってきて育てる、莫大な量のえさをその間必要とする、そのための環境や生態系への影響を懸念する声も聞かれます。
http://www.maguro-jp.com/fishing/culture/

では、完全養殖ならいいかといえば、やはり意図的にというか、狭いところにいるので結果的にというべきか、トロの部分を増やしながら養殖する、というのがちょっと気になります。

これはしかし、消費者の側の問題かもしれません。
幕内秀夫さんが言うように、消費者が「美味しい」と言うとき、必ず「甘い」「やわらかい」が背景にある、逆に言えば「甘く」「やわらかく」することが売れる決め手となって、そういう食品ばかりが開発され、味覚や噛むことの衰えが指摘されています。

かといって、天然クロマグロをえんえんと大西洋まで出かけていって獲る、そこに費やされるガソリンとCO2、そして他国への配慮を考えると、大差で今回否決されたとはいえ、この際、日本人として反省すべき点もあるかもしれません。

さて、今回、禁輸“賛成”に回ったのは欧米諸国が中心。
これは、G8メンバーと、ほぼ重なります。

G8メンバーは、日本、ドイツ、イギリス、アメリカ合衆国、フランス、イタリア、カナダ、ロシア。

日本は、欧米諸国に交じって、唯一アジアでG8のメンバー。
これが、ある種の日本人の潜在的誇りであるように思えます。

しかし、同時に禁輸“賛成”国のほとんどが、リーマンショック後の「金融危機」であえいでいる国。

新興国を入れたG20でないと、現在の経済的勢力図を反映していないのは明白です。
日本も、G8–欧米諸国の一員であることをいつまでも誇りに思っていると、「金融危機」であえいでいる国々と一緒に沈んでいってしまうのでは?—-なんて言うと、言い過ぎでしょうか。

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極秘リビア説得工作が奏功…クロマグロ禁輸否決
3月20日1時29分配信 読売新聞

 大西洋クロマグロの禁輸が最大のテーマとなったワシントン条約の締約国会議は、予想外の大差でモナコや欧州連合(EU)の禁輸提案を否決し、「ドーハの悲劇」は回避された。

 予想外の日本圧勝の裏には、途上国を中心に欧米主導の禁輸案への反発のうねりと、日本政府の周到な準備があった。

 ◆極秘訪問

 否決の流れを作ったのはリビアだった。18日の第1委員会では、リビアの代表が同国の最高指導者カダフィ氏ばりに、「(マグロの国際取引禁止は)先進国による陰謀だ!」と声高に主張し、途上国の反欧米の心情に訴えた。さらに、議論の打ち切りと即時採決を提案し、急転直下、否決へとつながった。

 実は今年2月末、水産庁の宮原正典審議官が極秘裏にリビアを訪問し、締約国会議でのクロマグロ禁輸反対に支持を求めていた。日本の説得工作で、当初関心が低かったリビアから、最終的には「日本支持」の言質を引き出すのに成功した。

 国際会議では途上国と先進国の対立がしばしば表面化する。いつもは途上国と利害を異にする日本が周到な準備を進め、今回はうまく途上国の欧米主導に対する不満をすくい上げ、“反欧米”と言えるうねりを引き出せたことが、大事な局面で奏功した。

 ◆中・韓とも連携

 今回の会議では、サメ類の商業取引を制限する案も提案されている。中国が、漁業規制の波がクロマグロからサメ類などに飛び火し、フカヒレなどの貴重な食材の確保に影響が出ることを懸念し、日本と共同歩調をとった点も大きい。

 委員会採決で、漁業国のアイスランドが秘密投票を求め、認められたことも日本にとっては有利に働いた。禁輸反対派のアイスランドはEUへの加盟交渉中だ。

 新興国や中国、韓国との連携や、欧州内の足並みの乱れを確認し、事前の劣勢との見方が一変。日本政府は次第に否決に自信を深めていた。

 「いまなら勝てそうです」

 赤松農相のもとに、17日、ドーハの町田勝弘水産庁長官から電話報告が入ると、赤松農相は「勝てるなら一気呵成(かせい)にやろう」と、即日採決で否決に持ち込もうとするアラブ諸国に乗る腹を固めた。

 「モナコ大敗」。農林水産省内の対策室に、マグロ禁輸案否決を伝える現地・ドーハから電話が鳴ったのは、マグロ禁輸の議論初日の18日深夜だった。

(ドーハ 是枝智、実森出、カイロ 福島利之)

最終更新:3月20日1時29分

「食文化伝承の現代的な意義」(スローフード岩手・茂木さんのレポート2007年より)

投稿日 2010年03月18日

3年前に、スローフード岩手の茂木さんがレポートしてくれた勉強会のレビューが妙に印象に残っています。

今年は、国連が定めた「生物多様性年」です。
http://www.cbd.int/2010/welcome/

失われていくのは、動植物種だけではありません。
伝統、文化も放っておけば伝承されなくなっていきます。

それが果たして何を意味するのか・・・・考えさせられます。

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スローフード岩手・茂木さんのレポート2007年より
 印象に残ったこと

 1.講師のお話から
「食文化伝承の現代的な意義」

 食文化伝承の意義は、単に昔の食を懐かしむことではない。風土と先人の知恵が一体化した地域固有の食文化の基底には、神々や先祖、家族に 対する人々の祈りや願い・感謝そして愛がある。

 食は、命を育むだけでなく、心と絆を育む。心と絆を育むための食のあり方は、
①家族で協力して食卓作り
②家族揃っての食事、
が欠かせない。

 現代は飽食の時代であり、流通や冷蔵技術の発達から、保存食の必要性は薄れている。
しかし、食糧・エネルギーの多くを外国に依存するなかでの飽食であり、紛争や温暖化・異常気象の影響等により、食料不足の時代が来る可能性もある。

 もし先祖代々受け継いできた食糧保存・調理(お腹を満たすと共に、限られた食材で美味しく食べるための知恵も)を私達の世代が放棄してしまえば、将来の世代を見殺してしまうことになりかねない。

 飽食の時代にあればこそ、食の大切さを認識し、伝統の技術を受け継いでいかなくてはならない。
 2.“シゲばあ”のお話から

 昔から節句には5つのお膳を用意した。

 ・神様 ・仏様 ・大黒柱 ・井戸 ・厠

 そして、神様用はその家の家長が、仏様用はおばあさんが、大黒柱用は長男が、井戸用はお嫁さんが食べた。厠用のお膳は桐の葉で、お皿は桑の葉、節句が終わると半紙で包み、川に流した。

 常に冷害・飢饉の恐れがある岩手では、いかに食べ物を確保するかが重要であり、保存できるものは何でも保存した。また、食べ物を粗末にすることなど考えられない時代であった。

 嫁は毎日家の雑巾がけをするが、床を磨くだけでなく、食べ物がこぼれていないが探すことも大事な仕事で、こぼれたひえ飯のひえ一粒でも粗末にしてはならなかった。

 何事においても「もったいない」の気持ちがあり、81歳になる今でも、その気持ちを失ってはいない。
 3.参加者の意見をまとめると…

昔とは家族のあり方が変化し、家庭の中で食文化を伝えることが難しくなっている。
しかし、コミュニティの中で受け継いでいくことは可能。

岩手の山村には高齢者が多く、様々な知識や技術・知恵が蓄えられている。
それらを引き出し、交流を通じて伝えていくことがスローフード岩手にできる役割ではないか。

食に関する話題

投稿日 2010年03月01日

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