補足説明:東北被災地取材DVDの上映

投稿日 2011年07月15日
カテゴリー その他の話題, イベント、集会等の内容報告, スローフード運動について, メンバーの近況, 東日本大震災(東北関東大震災), 海外情報

 

6月11日、モロッコの首都ラバトで開かれたスローフード・インターナショナルの国際会議の席上、ぼくが製作・監督した短編ドキュメンタリー作品(英語) が、スローフード・インターナショナル事務局によって、上映されました。

その上映の経緯について、補足説明します。

5月15日、スローフードジャパン副会長で会議に出席する、SFすぎなみ代表の佐々木さんにお会いしたとき、この作品の国際会議での上映を、インターナショナル事務局に申し入れるようにお願いしました。しかし、佐々木さんからは、「無理でしょう」との返答でした。また、同じく会議に出席するSF秋田の会長でスローフードジャパン副会長の石田さんにも、そのとき電話でお願いしましたが、明確な返答をいただけませんでした。
その後、佐々木さんからも、石田さんからもこの件に関しては、全く連絡がありませんでした。
そこで、ぼくはスローフード・インターナショナル事務局長のパオロ・クローチェさんに直接連絡を取りました。
すると、作品を観たいのですぐに送ってくれ、との要請があり、6月1日、パオロさんと、英語が苦手なペトリーニ会長にはイタリア語版の作品を、Fedexで発送しました。
あとでわかったことですが、作品を観たパオロさんが、国際会議での上映を決めました。ただし、会議が行われるアラブ式の中庭には上映設備がなく明るいので、屋内で開かれる昼食の時に上映することになったそうです(パオロさんの秘書シモーナさんの話)。

ラバト現地で、パオロさんと佐々木さんとの間に実際にどんな遣り取りがあったのか、ぼくは知りません。しかし、パオロさんはこの作品を事前に観て、インターナショナル事務局として会議で上映する価値がある、と判断しました。上映が実現したのは、彼が、地震・津波と原子力発電所の爆発に被災した日本からのメッセージを紹介することに、意味を認めたからです。パオロさんは、けっして好意や同情で上映を決めたわけではないと思います。

6月6日の夕刻、佐々木さんにお会いし、この作品をパオロさんとペトリーニ会長に直接送った事を伝えました。そして、作品のコピーを渡し、SF気仙沼の菅原さんを訪ねたときにぼくが購入した日本酒『蒼天伝』を一本、ペトリーニ会長に直接届けてくださるようお願いしました。(なかに、ぼくからペトリーニ会長へ宛てたカードを入れておきました)
じつは、この作品の上映に協力してくださったのは、SFすぎなみのメンバーで、スローフード食科学大学日本事務所の原さんでした。ぼくや原さんと、パオロさんの秘書シモーナさん、ペトリーニ会長の秘書ラウラさんとのmail、電話での度重なる遣り取りを、佐々木さんはご存じないようです。

この作品を、ある国際的な映画祭で上映する計画もあります。そのような作品が、スローフード・インターナショナルの国際会議で上映された経緯を、誤解なく理解していただくために、あえて補足説明をしました。
作品の日本語版『二つの悲劇 ─東日本大震災とスローフード運動』(英語版原題/From a country Struck by Twin tragedies…/DVD20分)も、ほぼ完成しました。
皆さんにもご覧いただく機会があるかと思います。

現地ラバトでは、佐々木さん・石田さんに御協力をいただき、感謝しています。

追記:

短編ドキュメンタリー映画『二つの悲劇 ─東日本大震災とスローフード運動』は、その後、「山形国際ドキュメンタリー映画祭2011」への全世界からの応募作品約1,800本の中から選ばれ(約240本が選定)、昨年10月7日に山形市で上映されました。また、今年1月12日・13日には17年前阪神・淡路大震災で被災した神戸市で上映され、3月10日には東京で上映されます。そして、その後も全国各地で上映される計画です。しかし、残念なことですが、上記経緯によりこの作品のタイトル・ロールに、スローフードジャパンの名はクレジットされていません。

コメント

コメント(8) “補足説明:東北被災地取材DVDの上映”

  1. 原 恵海

    イタリア語版の製作については、原稿の翻訳、ナレーションに渡り全面的に、すぎなみのメンバーでもあるフラビオ・パリジさんが協力されていますので、皆様にお知らせまで。

  2. では、現地でのやりとりも補足しておきましょう。

    パオロは、
    「DVDが送られたきたんだけど知っている?」と。
    「掛川さんから聞いてます。見ましたか?」と訊くと、
    「見たけど、これはSFジャパンでオーソライズされたものですか?」と。
    「直前に完成したもので理事会では見る時間は持ててません。よってオーソライズはされていません。ところがあなたのところへ直接送ったと言うから、あとはわれわれの判断に任されてます」
    パオロは、
    「じゃあ訊くけど、このDVDを上映したほうがいいと思う? ぼくは迷っているんだけど」
    と。
    「上映できる時間が取れるならしてもらいたい。会議で時間とれますか?」
    と訊くと、
    「会議で流すのは、長さからいって絶対ムリだね。」
    と。
    「休憩時間に流すのは?」と訊くと、
    「休憩時間をDVD上映で拘束することはできないし、そんなことすれば参加者をかえって不快にさせないか心配だ。」
    「会議が終わってから流すのは?」と言うと、
    「スローフードモロッコのプレゼンがあるから時間とるのは難しいとおもう」
    「じゃあ、食事中に流しちゃうのは?」と訊くと、
    「そうだな。時間があるとすれば2日目の昼食だが、内容が内容だけに食事中に流すのは避けたいとおもう」
    と言います。そこで、
    「昼食終わってから会議まで少し時間あるのでは?」
    と言うと、
    「じゃあこうしよう、メインディッシュが終わってデザートが出るタイミングにスタートする。先に上映できる準備をしておく。どう?」
    ということで、こぎつけたのです。

    パオロは心情的に共感したからというよりは、上映するしないは、あくまでジャパンの人間に聞いてから、と思っていた、ということもお忘れなく。

  3. 石田 雅芳

    私の方からも補足します。このDVDはできればジャパンのアクションとして扱いたいと思っていたので、政策的に合致していることを確認すべく、佐々木さんと見せていただきました。ドキュメンタリーとしてとても良い作品だと思いましたが、ジャパンの理事会で扱われていない、国際本部も提案されていない案件も主張されており、参加者が知らずに賛同してしまうことも危惧されました。モロッコで会うなりパオロが、ジャパンの見解として上映できる内容かどうかを確認してきたのはそのような事情です。私たちはせっかくの作品ですから上映を主張しました。

    さて、国際本部はよほどのことがない限り、各国の理事会のポリティックに忠実に従います。これは私が国際本部にいた時からの、パオロ自身が決めた規則です。ですから彼の一存で上映が決められることはありませんし、皆様のそのような貴重なコラボレーションがあったとしたら、ぜひこちらも把握しておく必要があると思いますので、お手数ではありますが、詳細を教えていただきたいと思います。こちらでも国際本部と確認してみます。

    スローフード協会の国際会議を長年オーガナイズしてきた人間としては、何ヶ月も前からタイムスケジュールが精査される国際会議に、これだけの長さのDVDを上映することは、非常に難しいことを知っていましたので(通常不可能ですから、佐々木さんの返答は正しいです)、確約をすることは最後まで避けました。これはお電話をいただいた際に申し上げた通りです。また出発当日にならないと出来上がらないと言われていたこのDVDは、すでに奇跡的に国際本部に送られていましたが、私が見ることができたのは出発前日でした。

    このDVDの上映は、現地で2つの判断のもとに行われています。それは政策的なものと時間制約の面です。最終的には佐々木さんの現地での根強い交渉によって、奇跡的に時間を取ることができました。私は良いパートナーに恵まれて幸運だったと思っています。

    さて、この上映が行われた模様は、佐々木さんの7月1日付けの理事・監事メールによって公式に報告されましたが、コンヴィヴィウムのメンバーにも回覧されたという認識です。

  4. batten

    佐々木さんが、そんな会話があったと言うなら、それを信ずるしかないですね。
    ……ぼくが聞いた話とは、ずいぶんニュアンスが違いますが、結局、水掛け論ですし、佐々木さんは嘘をおっしゃるような人ではないと思いますから。

    この作品は、ご承知のようにSFすぎなみ代表の佐々木さんの東日本大震災への活動を中心に据えた作品です。
    著作権はぼくが持ち、SFすぎなみが第二次使用権を持っています。
    スローフードジャパンは、一切関わっていません。
    もし、ジャパンが関わっていれば、石田さんがおっしゃるように「ドキュメンタリーとしてとても良い作品」にはならなかったでしょう。
    良い作品を生むのは、会議の合意ではなく、作り手のメッセージなのですから。

    当初は、佐々木さんが出発する間際にならないと完成できない予定でしたが、パオロさんからの要請があったので、徹夜までして作業を急ぎ、6月1日に発送したのでした。

    でも、上映が実現して良かったと思います。

    なにより、この作品の上映を、取材をさせていただいたSF気仙沼の菅原さん、SF福島の須藤さん、SF沖縄/奄美の田崎さん、そしてSFすぎなみの佐々木さん、SFベルリンの河野さんなどに喜んでいただけたことが、作品の製作・監督者としてうれしいです。(それぞれの方には、国際会議の場で上映されたとお伝えし、作品のコピーをお送りしています)

    現地ラバトで上映に協力していただいた佐々木さんと石田さんには、感謝しています。

    しかし、いずれにしても、石田さんからのコメントでもわかるように、ラバトに着くまでは、お二人が上映に消極的だった事実には変わりありません。

  5. Ishida

    消極的なのではなく、慎重に扱ったということです。

  6. batten

    ものは、言い様ですネ(笑)
    まるで、最近よく見かける原発関連の記者会見のようです。

    >このページをご覧の方々に

    モロッコの国際会議で、東日本大震災に対するSFすぎなみ代表の佐々木さんの活動をはじめ、スローフード運動の対応を紹介するぼくの短編ドキュメンタリー作品が上映され、
    (上映の経緯の理解には、かなり行き違いがあるようですが…)
    佐々木さんが大きな拍手を受けた背景には、
    じつは、こんな事情と事実があった、ということを、ご理解いただければ、幸いです。

    それが、佐々木さんは不快を感じられたかもしれませんが(申し訳ありません)、ぼくがあえて補足説明をした理由です。

  7. Ishida

    福島市出身者にその冗談はまったく笑えません。

  8. Shoko Kono

    SFすぎなみ東京の活動はとても素晴らしいと思っています。先頭に立って色んな事をされている掛川さんには頭があがりません。また、佐々木さんや石田さんの立場、そして文化や考え方の違う各国の代表者の方々とコミュニケーションを取られているご苦労は、一言で言えるものではないと思います。

    今回モロッコではベルリン代表のラース、イエーガーもいました。彼はSFの活動にはとても献身的で、たくさんの時間を費やしています。しかし、自分の枠を超えて、他のメンバーの活動をサポートしたり、SFの活動として認める事に関しては消極的です。もちろん、すべての事を眼下における筈はありませんので、仕方のない事なのです。

    ベルリンで募金の夕べを行った時日本人として私の名前が主に出されましたが、アイデアを出したのは、すぎなみ東京の義援金を募るページを私がドイツ語に訳して、それを読んだドイツ人の料理研究会のメンバーでした。それぞれ仕事を持ち、忙しい毎日を過ごしていますが、準備にはとても時間をかけ、アイデアも出し合って成功に導く事が出来ました。
    料理研究会の代表者の話によると、ベルリン支部の代表のラースは、私たちの募金の夕べには何も協力してくれなかったそうです。しかし、当日は出席してくれました。

    掛川さんが作成してくださったDVDをモロッコで見たラースは、私たちの行動を誇りに思うと言っていたそうですが、本来あるべきスローフードの食を通じての人のつながりの大切さに気づいてくれたことを願っています。テッラマードレもスローフードも人のつながりや相互の助け合い、コミュニケーション、討論なくしては運営できないものだと思います。

    今、たくさんの農家や家畜産業の方々が原発の災害を被っています。スローフードは、原発に対して反対して行かなくてはいけないと思いますし、また、放射性物質を含む食材に対して、全くの飲食拒否をして原発に反対するより、どの程度までなら安全なのかをアピールして、窮地に立たされた生産者をサポートする使命があると思います。

    今後、このような課題をSFジャパンが真剣に取り組んで、国をあげて世界にアピールして欲しいと願っています。