スローフードでつながる③ 7月17日

投稿日 2012年07月26日
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スローフードベルリンのメンバー12人が秦野に滞在中の7月17日、関東地方の梅雨が明けました。最高気温、33℃。北緯52度(サハリン中部に相当)のベルリンとは異なる日本の夏の訪れに、しかし、12人は精力的でした。

スローフードベルリンのメンバーが前夜泊まったのは、秦野の隣・七沢温泉の日本式温泉旅館『元湯・玉川館』です。長い日本滞在中、メンバーは初めて畳の上で眠りました。鬱蒼と茂る葉から木漏れ日が漏れる目覚めを、エルケ・マイヤーさんは「素晴らしかった !!」と、語ります。国を問わず自然を愛する心を持っているのが、スローフーダーの特徴かもしれません。

ベルリンでは味わうことがない<うだるような>暑さのなか、メンバーは東田原の『ふれあい農園』に立ち寄りました。『ふれあい農園』は地元の農家の組合が運営する約300区画の貸し農園で、主に秦野市街や湘南方面に住む人たちが家庭菜園を耕しています。メンバーの関心は、菜園に水をどうやって散布するのかなど、里山の豊かな自然にありました。

秦野の背後にそびえる信仰の山、大山。そのヤビツ峠への登り口にある宝蓮寺は、別名茶湯寺とも呼ばれる鎌倉時代に開かれた古寺です。秦野では座禅とお茶で知られているこの寺で、ベルリンのメンバーは座禅を組み、茶席に臨みました。立っているだけで汗が噴き出す酷暑のなか、欧米人には苦手なはずの正座や胡座(あぐら)を長時間続けるのは、拷問(?)に近かったかもしれません。しかし、メンバーから苦情やリタイアは出ませんでした。我慢強いその姿から、日本のスローフードを理解するために、日本の文化も吸収しようとする真摯な気持ちが伝わってきます。座禅や茶席に参加せずいち早く逃げ出したぼくに比べ、彼らは本当に真面目です……。

秦野でのお別れ会は、市内のイタリアンレストラン『クッチーナ・ジータ』で開かれました。スローフード秦野のメンバーでもあるシェフの藤田博さんは、東京の有名店で修行を積み、昨年9月秦野で開店して家族と一緒に店を切り盛りしているそうです。料理に使われる野菜は、すべて秦野産。地場産の食材にこだわる飲食店は、料理人がスローフードのメンバーであればすでに珍しくはありません。スローフード運動は、ここ秦野でも地域に確実に根付きつつあります。

ベルリンのメンバー、ヘンナー・ゼンフさんは、「スローフードの人間は、異なる食文化に心を開きます。来る前に想像したのとは違って、日本は非常に多彩な食文化を持つ国です。そして、どの食べ物についても、日本の人たちが親切にもてなしてくれるのがうれしいです。皆さんがベルリンに来たら、私たちも大歓迎します」 

 スローフードの<つながり>は、バーチャルな面識や組織から作られるのではなく、それぞれのメンバーのハートに触れて生まれます。
スローフード秦野のメンバーからは、ベルリンに行こう、という声が早くも上がりました。

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