スローフードでつながる④ 7月18日

投稿日 2012年07月27日

東京滞在の第一目。スローフードベルリンのメンバーは、希望が多かった築地市場と浅草寺を訪れました。いずれも外国人観光客の人気スポットですが、スローフードがアテンドすると一般の観光客には味わえない経験ができます。

 

魚河岸(うおがし)とも呼ばれる東京の築地市場には、近年、訪れる外国人観光客が増えて業務に支障をきたすようになったため、場内の入場に規制が設けられました。外国人観光客は、原則として午前9時以前には入場できず、ガードマンが巡回しています。しかし、ベルリンのメンバーが築地市場に到着したのは、午前7時半、しかも12人という多人数です。そこで、入場するために、彼らをアテンドする東京のメンバーと個人的なつながりがある場内のマグロの仲買人の方を、訪問するという形を取りました。
築地市場を見学する外国人観光客のほとんどが、場内に並ぶ魚を見てもそこで働く人たちを見ていません。そこで、東京/神奈川ブロックの Welcom委員会は、市場の東京魚市場青年団体連合会とスローフードベルリンのミーティングを設定しました。そのミーティングでは、場内の鮨屋で特別注文の本マグロ・ミナミマグロ・メバチマグロの3種類のマグロを(↑ 写真上段)味わったばかりのメンバーが、そのマグロを中心に日本の漁業に関ついて質問を連合会の出席者に投げかけました。実際に食べて、話し合う……。それが、東京/神奈川ブロックのWelcome委員会が考える<スローフード流>です。

浅草寺では、執事の大森和潮師がスローフードベルリンのメンバーを待っていました。浅草寺には、絵馬堂・伝法院など一般には非公開のエリアがあります。和潮師の案内で、東京の住人でもなかなか入る機会がないその非公開エリアに、ベルリンのメンバーは入りました。あるメンバーは、江戸時代から奉納されてきた数多くの巨大な絵馬や、境内の喧噪のなかにあるとは思えない美しい伝法院の庭園を、まるで別世界だ、と表現しました。これもまた、一般の観光とは異なるスローフード流の浅草の味付けです。大森和潮師もまた、東京のメンバーのひとりと個人的なつながりがあります。

知恵と人がそろえば、スローフードの国際交流はスローフードジャパンに頼らなくても充分に可能です。スローフードジャパンの国際本部担当者は、このスローフードベルリンの日本訪問にまったく関わっていません。今回のように国外の支部(コンビビウム)がグループで日本の支部を訪れるのは、もちろん初めてです。世界にもあまり例がない、と言います。しかし、国内の支部がこのように直接国外の支部とつながることこそ、スローフードジャパンの後藤毅会長が提唱する<スローフードジャパンのリーダーシップではなく、各コンビビウムのフラットな活動を!>という方針に沿った活動です。ベルリンの仲間たち12人の日本訪問が、スローフード運動を作り出すのは組織ではなく人である、と教えてくれます。

ベルリンのメンバーは、隅田川を下る水上バスで浅草をあとにしました。