麻布大獣医学部・日高さんから届いたメッセージ(高円寺「どげんかせんと宮崎」)

投稿日 2010年07月23日

明日7/24(土)12時から、高円寺北口広場で★『どげんかせんと宮崎』宮崎×高円寺×学生☆
~宮崎を食べて、知って、応援しよう!~が開催されます。

副実行委員長の武藤寛奈さん(わかもの農援隊)が、日高佑太郎さん(麻布大獣医学部6年)からメッセージをいただいてきました。
会場にて展示予定です。

また、日高さんご自身も、高円寺の会場に駆けつけてくださるそうです。

せっかくですので、こちらのブログでも転載させていただきます。

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●「口蹄疫に対する思い」

     ~7/24「どげんかせんと宮崎」に寄せて

日高佑太郎さん(麻布大獣医学部6年)

 私は獣医学科6年の者です。卒業後は産業動物獣医師として畜産業へ貢献したいと考えております。

 私は宮崎市出身で、実家は養豚業を営んでおります。
殺処分等の対象にはなっていませんが、発生農場から1.5kmの距離にあり、現在も10km以内の移動制限区域に入っております。

 口蹄疫の1例目が確認されて4日後の4月24日に実家に帰省しました。
約1カ月滞在しましたが、毎日ニュースでは口蹄疫がトップで扱われ、父の携帯には被害に遭われた農家やその周辺農場、養豚関係者からの電話が鳴りやみませんでした。
私も父を通して被害の状況を目の当たりにしてきました。
父の友人や仲間、私が昨年実習でお世話になった農家、周りでも多くの方々が被害に遭われました。

 当初私の実家は発生地から約40km離れていました。
しかしえびの市に飛び火した際に、2か所ある農場のうち1か所が20km以内の搬出制限区域に入り、と畜場への出荷に影響が出ました。
その後も児湯地区を中心に感染地域が拡大、南下してきました。
もう1農場が制限区域に入るのも時間の問題でした。
感染やワクチン接種のリスクを軽減するために、他農場への豚の移動等も休日返上で行いました。
しかし5月19日、もうひとつの農場の20km以内の搬出制限区域に入り、6月10日には、一番恐れていた事態が起こりました。
約1.5km離れた養豚場で感染が確認されたのです。
これまでも消毒や防疫を徹底していましたが、一気に緊迫感が漂い、いつ感染してもおかしくない状況になりました。農場でできること、それはウイルスが場内に入らないように消毒や防疫体制を強化・徹底するのみです。
ウイルスは目に見えません。
それは農家にとって脅威となります。
口蹄疫に対する恐怖と不安の中、通常の仕事をしなければならないのです。

 このまま順調にいけば、27日には移動制限が解除されます。
しかし、安心はできません。ウイルスがいなくなったわけではないのです。
再び感染が起こらない補償はどこにもありません。
これから被害農家は再開に向けて動き始めますが、超えなければならない壁はたくさんあります。
そして今回多くの課題が残されました。
行政と農家が一体となって、より農家目線で、この国の畜産を守るのだ、という意気込みが伝わる体制作りを願っています。

 今回多くの畜産農家が被害に遭いました。
これは連日ニュースでも取り上げられており、みなさんも十分ご承知のことと思います。
しかし、獣医師や人工授精士、削蹄師など農家以外にも畜産に携わり、支えている関係者も多くいらっしゃいます。
当然口蹄疫の被害を受けていらっしゃる方も少なくありません。
特に獣医師は、診察していた農家の家畜を自らの手で処分していました。
本来家畜の健康を守るべき獣医師が、口蹄疫の蔓延防止のため、その家畜を殺処分しなければならないのです。
これら獣医師や人工授精士なくしては、宮崎の復興はあり得ません。
そのためにも、これら関係者に対する支援も考えて頂けないでしょうか。
将来、産業動物獣医師を目指す者としても切実な願いであります。

 私が宮崎から戻ってきた5月中旬、発生から1カ月が経過していましたが、こちらでの情報・報道には乏しいものがあり、宮崎との温度差を感じました。
ようやく全国的にも報道がされ始めましたが、偏った報道や農家の現状が上手く伝わっていないように感じました。
再建には当然金銭的な支援も重要です。
しかし皆さんが“正しく知り・理解する”ことは重要だと私は考えております。
今回のイベントを通して口蹄疫に関する正しい知識を持たれたうえで、宮崎で発生した口蹄疫について、もう一度考えていただけないでしょうか。

最後に、被害に遭われた農家の中には、皆様に再び安心・安全な畜産物を生産・提供するため、再開に向け動き出している方もいらっしゃいます。
皆さんのご理解とご協力、そして一刻も早い終息と、一戸でも多くの農家が再建することを願いたいと思います。

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以下は、6/26に日高さんが講演を行う前に掲載された新聞の案内です。
(★この講演会は、6/26にすでに終了しています。)

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「口蹄疫の現状知って」宮崎出身の獣医学生、26日講演
2010年6月25日18時22分 asahi.com(朝日新聞社)
   
 口蹄疫(こうていえき)におびえる故郷の畜産農家の思いを知って――。麻布大獣医学部6年の日高佑太郎さん(24)が26日、神奈川県相模原市の同大で開かれる口蹄疫の公開講座で講演する。養豚業を営む実家と周辺の状況を等身大の姿で伝え、感染防止に取り組む宮崎への支援を訴える。

 日高さんの実家は、宮崎市など2カ所の農場で計1万頭の豚を飼育する養豚農家。目が覚めると豚の鳴き声が聞こえる環境で育ち、獣医師を目指して麻布大に進んだ。

 4月、国内で10年ぶりに口蹄疫が発生した当時、実家は発生地から30~40キロ離れていた。だが、今月9日以降には宮崎市などに「飛び火」。実家が、家畜の移動を制限される区域に入ると、電話口の父親の声のトーンがどんどん下がっていった。「感染防止のため、豚舎の消毒回数を増やし、宅配便や新聞の配送も止めた」といった話が続いた。

 一方で、大学では、周囲の関心は驚くほど低かった。宮崎県産の肉の買い控えなどの風評被害も出ていた。今月初め、殺処分などの防疫活動に携わった同じ研究室の新井佐知子助教(34)が現地から戻ったのを機に、公開講座の企画が持ち上がった。

 講座「口蹄疫を正しく知ろう」は26日午後1~4時、麻布大百周年記念ホールで。日高さんと新井助教の講演のほか、ウイルスの特性や感染を防ぐ方法を同大教授らが解説する。参加無料。問い合わせは同大経営企画課(042・769・2032)。(見市紀世子)

★この講演会は、6/26にすでに終了しています。